スキル胃癌ステージⅣの男、富士登山を目指す

抗癌剤治療中ですが、5年後富士登山が出来る様に頑張ります。

『惣角流浪』 (集英社文庫)  今野 敏(2001/10/19 第1刷)

 

【2018/11/16(金)】

 

 『鬼の冠』に続き、武田惣角についての小説を読みました。

『惣角流浪』です。今野敏の本は、『隠蔽捜査』シリーズを読んでいましたが、『惣角流浪』は、著者自身が、道場を持つ格闘家であり、その目線で著した作品となっています。嘉納治五郎との闘いや、西郷隆盛との邂逅など、多分フィクションでないかな?という所もありますが、政治的側面から見ない明治の歴史、という感じで面白く読めました。

 会津戦争での悲劇の家老、西郷頼母に師事し、西郷頼母の養子が、「姿三四郎」のモデルとなった西郷四郎であるなど、えっそうなのか!と思わせるようなことも知れました。

 それにしても、講道館柔道という現在につながる「スポーツ」を生んだ嘉納治五郎と、道場を持たず、生涯に渡って放浪し、その先々で技を教えた合気道武田惣角の対称が興味深いです。

 この本では、嘉納治五郎は、ヨーロッパのスポーツの様に柔術を広め国民の健康に役立てたい、と語らせています。今の、柔道には色々な意見が有ります。私が、10数年続けた金剛禅総本山少林寺は「単なる武道やスポーツではない」と唱えていました。座禅や、滝に打たれるなどの代わりに拳法をし、それにより心を修練する、というのです。

 基本的に、臨済(禅)宗、曹洞(禅)宗などの様に禅宗の宗教なのです。私が、道場に通っていた頃、練習中に法話があり、若かりし頃の私は、「そんな話どうでも良いから、技を教えてよ」と不遜にも思っていました。この本を読んで、久しぶりに、「武道」「スポーツ」「宗教」「強くなるとは」等について、考える良い機会になりました。

 

 百田尚樹『日本国紀』を読み始めました。戦国時代まで、読みましたが、期待値が高かっただけに今一つです。渡部昇一『日本史から見た日本人』を読んだ時の感動には及びません。井沢元彦『逆説の日本史』にも及びません。明治以降が、半分を占めているので、今から面白くなるのかもしれませんが、塩野七生ローマ人の物語』の様に、血沸き肉躍るような叙述では有りません。でも、期待しながら、続きを読みたいと思います。